相続した実家を売却すると、「売却代金にそのまま税金がかかるのでは」と不安になることがあります。
実際には、売却価格そのものではなく、一定の計算によって求める譲渡所得をもとに税額を考えます。
また、相続した空き家には一定の要件を満たす場合に利用できる特別控除があります。ただし、すべての相続した実家が対象になるわけではありません。
この記事でわかること
- 実家売却で確認したい主な税金
- 譲渡所得の基本的な考え方
- 所有期間による違い
- 相続空き家の3,000万円特別控除
- 売却前に残しておきたい書類
実家を売却するとどんな税金を確認する?
不動産売却では、主に次のような税金・費用を確認します。
| 項目 | 主な場面 |
|---|---|
| 所得税・住民税 | 譲渡所得が生じた場合 |
| 復興特別所得税 | 所得税に関連 |
| 印紙税 | 課税文書となる売買契約書等 |
| 登録免許税 | 登記手続きが必要な場合 |
このうち、売却による利益と深く関係するのが譲渡所得です。
譲渡所得はどう計算する?
基本的な考え方は次のとおりです。
譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額 = 課税譲渡所得金額
取得費には、土地や建物を取得したときの代金や一定の費用などが関係します。譲渡費用には、売却のために直接要した費用などが該当します。
相続した家では「親がいくらで買ったか分からない」というケースもあるため、購入時の契約書などが残っていないか確認しておくことが大切です。
所有期間によって税率の扱いが変わる
土地・建物の譲渡所得は、所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分されます。
相続した不動産では、所有期間の判定で被相続人の取得時期を引き継ぐ場合があります。
個別の計算は取得時期や売却時期によって変わるため、売却価格だけを見て税額を決めつけないようにします。
相続した空き家の3,000万円特別控除とは
国税庁には「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」があります。
一定の要件に該当する場合、譲渡所得の金額から最高3,000万円まで控除できます。
2026年9月30日時点では、対象となる譲渡期間は2027年12月31日までです。
ただし、相続または遺贈によって対象家屋・敷地を取得した相続人が3人以上の場合、2024年1月1日以後の譲渡では控除上限が2,000万円となります。
まずは特例に該当する可能性をチェックする
次は「使える」と自己判断するためではなく、国税庁の正式な要件を確認する必要があるかを判断するための簡易チェックです。
- 親など被相続人が住んでいた家を相続した
- 相続後、原則として事業・賃貸・居住に使っていない
- 売却時期が特例の期限内に入る
- 売却代金が1億円以下か確認できる
- 家屋の建築時期や耐震・取壊し等の要件を確認できる
- 親子・夫婦など特別な関係者への売却ではない
- 老人ホーム入所後の家なら、その場合の追加要件を確認する
一つでも不明な項目があれば、契約・解体前に税務署や税理士等へ確認する方が安全です。国税局はこの特例のチェックシートも公開しています。
「相続した実家なら使える」とは限らない
特例には複数の要件があります。
特例の代表的な確認項目
- 被相続人が居住していた家屋か
- 家屋の建築時期などの要件
- 相続後の利用状況
- 売却までの期限
- 売却代金
- 耐震基準や取壊し等に関する要件
- 親子・夫婦など特別な関係にある人への売却ではないか
国税庁によると、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることや、売却代金が1億円以下であることなども要件です。
制度を利用したい場合は、売却後ではなく売却方法を決める前に適用可能性を確認する方が安全です。
自分が住んでいた家の3,000万円控除とは別に考える
「3,000万円控除」という名称から混同しやすいですが、相続空き家の特例と、自己居住用財産を売却した場合の特例は別制度です。
「実家だから3,000万円控除」と判断せず、誰が住んでいた家なのか、どの制度の要件に当てはまるのかを確認します。
解体して売る場合も順番に注意する
相続空き家の特例では、家屋の耐震性や取壊し等に関する要件があります。
2024年1月1日以後の一定の譲渡では、売却後から翌年2月15日までの間に一定の耐震基準を満たす、または家屋を取り壊す場合を含む仕組みがあります。
注意
税制だけを理由に先に解体せず、売却方法と制度要件を確認してから進めます。
兄弟など複数人で相続した場合
複数の相続人がいる場合は、誰が不動産を取得したのか、持分はどうなっているのかを確認します。
税金の計算や特例の上限にも影響する場合があるため、共有状態のまま売却を進める前に整理します。
売却前に探しておきたい書類
- 親が購入したときの売買契約書
- 建築・取得に関する資料
- 相続関係の書類
- 登記事項証明書
- 売却時に発生した費用の領収書
- 解体・測量などを行った場合の資料
古い実家では購入時資料が見つからないこともあります。片付けの際に重要書類を先に確保しておく理由の一つです。
まとめ|売却価格ではなく「手取り」で考える
実家を売却するときは、売却価格だけではなく、取得費・譲渡費用・税金を確認し、最終的にどの程度残るのかを考えることが大切です。
相続空き家の3,000万円特別控除には細かな要件があります。利用できる可能性がある場合は、解体や売却条件を決める前に最新の国税庁情報や税務の専門家へ確認しましょう。
