相模原市の実家を相続したものの、「広い市なので、どこに何を相談すればよいか分からない」「団地の部屋と戸建てでは、進め方が違うのでは」と迷っていませんか。
相模原市は、小田急線沿いの住宅地から山あいの地域まで、同じ市内でも条件が大きく異なります。まず実家がどの区・どの駅の周辺にあり、戸建てか団地(区分所有)かを確認すると、次に取るべき手順が見えやすくなります。
この記事では、相模原市の実家を相続した方に向けて、地域ごとの確認点と、売却や相談の前に整理しておきたいことをまとめます。
この記事でわかること
- 区・駅ごとに異なる実家の事情
- 団地(区分所有)の実家で確認したいこと
- 相続登記と「相続空き家の3,000万円特別控除」の期限
- 相模原市の空き家相談と空き家バンク
相模原市は区や駅ごとに事情が違う
相模原市は、緑区・中央区・南区の3つの区からなる政令指定都市です。小田急線の相模大野駅・小田急相模原駅・東林間駅などがある南区と、JR横浜線・相模線沿いの中央区、山間部を含む緑区とでは、住宅地のでき方や土地の条件が異なります。
南区の小田急線沿線
相模大野駅周辺は商業施設が集まる拠点で、駅から少し離れると戸建て住宅地や団地が広がります。小田急相模原駅周辺も、古くからの住宅地と商店街が混在するエリアです。同じ駅の利用圏でも、駅からの距離や坂の有無で売却条件は変わるため、個別に確認しましょう。
団地の部屋を相続した場合
相模原市には、昭和期に建てられた団地も多くあります。分譲団地の部屋(区分所有)を相続した場合は、戸建てとは確認することが異なります。
- 管理費・修繕積立金の額と滞納の有無
- 管理組合の規約(リフォームや賃貸の制限など)
- 建て替えや大規模修繕の計画があるか
- 区分所有建物は、後述の「相続空き家の3,000万円特別控除」の対象外であること(ほかの特例が使えるかは税務署や税理士に確認)
売却の前に相続登記を確認する
相続した不動産を売るには、原則として相続人への名義変更が必要です。2024年4月1日から相続登記が義務になり、不動産を相続したと知った日から3年以内の申請が求められています(2024年4月より前の相続は2027年3月31日まで)。正当な理由なく申請しない場合は、10万円以下の過料の対象になる可能性があります。
遺産分割がまとまらない場合は、法務局や司法書士に早めに相談しましょう。
家財は「残す物」を先に決める
- 通帳、印鑑、権利証、保険証券などの重要書類を探す
- 形見として残したい物を、家族で確認しながら分ける
- 残りをリサイクル・買取・処分に分ける
- 最後に清掃し、家の状態を整える
団地の上層階でエレベーターがない場合や、駐車場から離れた住戸では、搬出に人手や時間がかかることがあります。業者に見積もりを依頼するときは、搬出経路も見てもらいましょう。家財が残ったままでも査定の相談はできます(実家は片付け前に査定してよい?残置物があるまま依頼する方法と注意点)。
特に重要賃貸・解体の前に「相続空き家の3,000万円特別控除」を確認する
相続した空き家とその敷地を売る場合、条件を満たせば、売却で得た利益から最大3,000万円を差し引ける特例があります。国税庁の案内での名称は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」で、この記事では「相続空き家の3,000万円特別控除」と呼びます。
| 主な条件 | 内容 |
|---|---|
| 建物 | 1981年(昭和56年)5月31日以前に建てられた家で、区分所有建物(マンションなど)ではない |
| 住んでいた人 | 相続の直前に、亡くなった方が一人で住んでいた(老人ホーム入所などの例外あり) |
| 売る時期 | 相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日まで。特例の適用は2027年12月31日までの売却が対象 |
| 売却代金 | 1億円以下 |
| 建物の扱い | 耐震基準を満たすか、取り壊す。2024年1月以降の売却では、売った翌年2月15日までに買主が耐震改修や取り壊しを行う場合も対象 |
| 控除が2,000万円になる場合 | 2024年1月以降の売却で、亡くなった方の家と敷地の両方を相続または遺贈で取得した相続人が3人以上いるときは、売却した相続人それぞれの控除の上限が2,000万円になる(家だけ、敷地だけを取得した人は、この人数に含まれない) |
| 売る相手 | 親子・夫婦・生計を一にする親族など、特別の関係がある人への売却は対象外 |
| ほかの特例との関係 | 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例(取得費加算)など、ほかの特例と併せて使うことはできない |
| 手続き | 確定申告が必要。物件所在地の市区町村が交付する「被相続人居住用家屋等確認書」などを添付する |
注意
この特例は戸建ての実家が対象で、団地などの区分所有建物には使えません。ほかの特例が使えるかどうかは、税務署や税理士に確認してください。相続してから売るまでの間に貸したり住んだりすると、特例は使えません。使えるかどうかは、売買契約の前に税務署や税理士に確認してください。
建物を残して売るか、解体して売るか
古い家でも、先に解体する必要があるとは限りません。解体費は建物の大きさ、構造、搬出経路などで大きく変わるため、建物がある状態で査定を受け、複数の解体見積もりと比べてから決めましょう。
また、1月1日時点で更地だと、その年度から固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなります。売却の時期が決まっていないうちに解体するのは慎重に考えましょう。
家族で意見が分かれるときは
「団地の部屋は誰かが住めばいい」「戸建ては管理が大変だから売りたい」など、物件の種類によっても意見は分かれます。売るか残すかを最初に決めず、名義、査定額、1年間の維持費など、全員が同じ資料を見て話せる状態をつくりましょう。一人が家を引き継ぎ、ほかの相続人にお金を支払う「代償分割」という方法もあります。
反対理由の整理や相談先は、実家の売却に兄弟・親族が反対するとき|名義確認と話し合いの進め方で詳しく解説しています。
空き家のまま残す場合の注意点
2023年12月に施行された改正空家対策特別措置法では、管理が不十分な空き家に自治体が指導・勧告できるようになり、勧告を受けると固定資産税の住宅用地特例が受けられなくなります。さらに状態が悪い「特定空家」になると、命令や行政代執行の対象になることもあります。
遠方から管理する場合は、換気・通水、郵便物の回収、庭木の手入れなどを誰に頼むかを早めに決めておきましょう。
査定・相談の前に整理しておくこと
- 登記事項証明書、公図、測量図(あれば)
- 固定資産税の納税通知書
- 建築時期が分かる資料(建築確認通知書、検査済証など)
- 団地の場合は管理規約・管理費等の明細
- 相続人の一覧と、家族の希望
査定を受けることは、売却を決めることと同じではありません。複数社の金額に差があるときは、根拠と売り出し価格の考え方を比べましょう(不動産査定額が高すぎるときの見極め方)。
相模原市では、市の空き家バンクで空き家の売却・賃貸の情報を登録できる仕組みがあります。また、管理されていない空家等に関する相談は各区の地域振興課が受け付けています(樹木の越境など、行政が介入できない相隣問題は対象外になる場合があります)。売却の判断や相続の手続きは、不動産会社や司法書士などの専門家にも確認しましょう。
まとめ|区・物件の種類ごとに確認する
- 相模原市は区や駅ごとに住宅地の条件が異なる
- 団地(区分所有)は管理規約や修繕計画も確認する
- 区分所有建物は「相続空き家の3,000万円特別控除」の対象外
- 相続登記と特例には期限がある
- 解体するかどうかは、査定額と見積もりを比べてから決める
思い出だけで決める必要も、価格だけで決める必要もありません。まずは実家の名義と土地・建物の条件を確認し、家族で話し合える材料をそろえるところから始めてみてください。
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